CANP 2000参加記 (4)

CANP (CCD Astronomer's Network Party) 2000 (4) back to homepage

 2)メーカーデモ2「ステライメージ3」 上山治貴(アストロアーツ)

 いろいろと改訂されたステライメージ3の紹介。主な新機能は以下のとおりです。


 ・RAWファイル、Photo-CD、スキャナーから直接読み込みができる
 ・仮想記憶(予約メモリとあるのはOS用なことに注意!)
 ・レベルバーを設けた
 ・サブピクセルでの位置調整(合成の際に便利)
 ・バッチによる多量の画像合成(惑星は重心で合わせられる)
 ・モザイク合成が容易にできる
 ・Lab合成においてサイズ調整が容易にできる
 ・最大エントロピー法およびルーシー・リチャードソン法
 ・ブリンクコンパレーター
 ・各距離、方位角の表示
 ・グラフ表示(任意の断面の強度が測れる)
 ・惑星展開図
 ・階調減と輪郭抽出でコンターマップが簡単にできる

 3)メーカーデモ「ビットラン新製品紹介」 新井一男(ビットラン)

 ビットランでは各種の冷却CCDカメラを販売していますが、今度の新製品はなかなか強力です。特に600万画素と裏面照射型チップには注目です。

 ・BT-241L Philllips社製の600万画素を使用したモノクロカメラ \1,980,000
 ・BT-241C 同上、カラーカメラ \2,180,000
 ・BT-220B Site社製の裏面照射型チップを使用したモノクロカメラ(25万画素) 受注生産
 ・BT-221B 同上、(100万画素) 受注生産

 4)講演「40万画素CCDから160万画素CCDへのアップグレード」 近藤弘之、共田尚龍

 これは40万画素のCCDカメラ(ムトウCV-04)を使っていた両氏が、160万画素のチップを入手して自分で交換した話題です。

 ・コダックのCCDチップのKAF-400(40万画素)とKAF-1600(160万画素)は、ピンの数・位置などの互換性があることがわかった。

 ・コダックでは、KAF-1600の生産終了にともない、安値で販売していた(笠原さんから教えてもらった)。グレード2とはいいながらも、約10万円という破格の価格だった。

 ・チップを交換するには、以下のように行った(画像を交えて説明された)。
  - 通信ポートの基板を抜く
  - カバーとデュワーを固定するネジをはずす(このとき乾燥ガスが抜ける)
  - KAF-400を精密ドライバーなどを用いて慎重にはずす
  - KAF-1600を付ける(CPUの交換と似ている)
  - 乾燥させる(カメラと乾燥剤をビニール袋に入れてしばらく放置する)
  - ネジを締めて組み立てる

 ・交換作業は成功したが、人にはあまりオススメできる方法とはいえない

 ・試写ではグレード2のチップでも、市販カメラと遜色がないようだ

●以上の発表に対するメーカー、販売店のコメントです。

 ・チップは静電気を嫌うので、乾燥したところでは要注意(ビットラン、新井氏)

 ・当社ではチップの取り付けはクリーンルームでやっているので、ほこりを少なくする工夫がいるだろう(同上)

 ・チップのゴミを完全に除去するのはきわめて難しい、アルコールと綿棒だけではできない(国際光器、グーリー氏)  

 5)「DIPOTY最終決定」 近藤弘之

 DOPOTYとは、Digital Product Of The Yearのことで、ジャンル毎にその年の優秀なCCD関連製品をあげて表彰しようというものです。賞品と賞金はなくて名誉だけが贈られています。
 今年の結果は次のようでした。

 ・カメラ関連機器部門 SBIG ST-7E/8E
 ・ソフトウェア部門  アストロアーツ ステライメージ3
 ・書籍・記事部門   冷却CCD入門
 ・その他機器部門   タカハシEM-200シリーズ
 
 なお、岡野氏の提案により、トーカイの干渉フィルターシリーズがカメラ関連機器部門で特別賞に選ばれました。

 6)「閉会の辞」 川崎誠志

 CANPは関東と関西の持ち回り行っていますが、来年は京都で開かれることになりました。実行委員の伊藤さんと共田さんからの挨拶がありました。

 12時をもってお開きとなり、来年の再会を約して解散しました。

 なお、会の模様は講演者が書いた資料などがCD-ROMとして参加者に無量で配布される他、アストロアーツからビデオとして販売される予定です。

6.まとめ

 今回は出張に引っかけられず、自費での上京となりました。その分、元を取ってやろうという気があって、会場でもなるべく質問をさせていただいたり、多くの先達の方々にお会いして話すことができました。

 冷却CCDは、その特性ゆえに初心者の方であっても、自分の工夫次第でどんどん上達することが多く、工夫の一端を知ることが自分の上達にもつながることを再確認しました。また、メーリングリスト上でしか知らなかった方々の人となりを知ることもたいへん興味深かったといえます。

 なお、CANP講演に対してのお願いです。

 ・座長は講演時間を守るように仕切ること

 ・質問者は自分の名前を明らかにすること

 何とか工夫した来年も参加したいものです。できれば講師として事例を紹介できればとは思いますが・・・。

謝辞:実行委員の皆さまには、たいへんご苦労様でした、厚く御礼申し上げます。