やぶにらみ望遠鏡シリーズ
− ユニトロンの巻 −
Unitron Astronomical Teelscopes

はじめに

 私が中学生の頃、帯広天文同好会の例会の際に見せていただいた、当時の"Sky and TELESCOPE"の裏表紙の広告は、UNITRON望遠鏡でした。小口径ながら大口径の屈折のようなスタイルの望遠鏡は、さすがに先進国アメリカの製品だと感心して眺めたものです。ところが当時会の幹事だった小林 宏氏から、ユニトロンは日本製であることを聞かされ、たいへん驚いた記憶があります。ユニトロンブランドの望遠鏡は日本精光という会社の製品だったのです。

ユニトロン 132 F型 100 mm写真赤道儀
 口径100 mm、焦点距離1,500 mm、付属アイピース:Or 6 mm、SYM 9 mm、K 18 mm、R 25 mm、K 40 mm、K 60 mm、ファインダー:10 x 40 mm、ガイドスコープ:D 60 mm、f 700 mm、定価:450,000円。
 写真赤道儀と銘打っている据え付け式の本格型角型ピラーとなっています。

 その後の製品を「天体望遠鏡のすべて 1987年版および1991年版」より引用します。RFTとフローライトが加わりました。

日本精光研究所

 日本精光は正式には株式会社日本精光研究所といい、戦後いちはやく天体望遠鏡を製作して海外に輸出されました。特に米国市場では著名で、UNITRONが日本製であることを知らない米国の天文ファンも多かったようです。それまで輸出専門でしたが、1970年代後半からは国内でも販売を始めました。ところが不景気のせいか後継者不足のせいか知りませんが、数年前には自主廃業してしまいました。米国のインターネットのWEBサイトでは、今でもUNITRONブランドの望遠鏡を販売しているところがありますので、在庫がたくさんあったかOEMなのでしょうか。

MODEL RF-75 セミアポクロマート(鏡筒のみ)
 口径75 mm、焦点距離500 mm、付属アイピース:Koe 24 mm、ファインダー:8 x 30 mm、定価53,800円。
 リッチー・フィールド・テレスコープに徹した短焦点望遠鏡です。広視界(見かけ視界60度、20x)のケーニッヒ型アイピースでながす星野は、きっと楽しい眺めでしょう。

ユニトロン望遠鏡

 ユニトロン望遠鏡はほぼすべてアクロマート屈折式から構成されています。架台は赤道儀と経緯台がありましたが、なんといってもクラシックな運転時計式の赤道儀が最大の特徴でしょう。パルスモーターが普遍化する中で、ユニトロン望遠鏡にはわりあい最近まで採用していました。
 ここでいくつかの製品を紹介します。仕様は地人書館刊「天体望遠鏡のすべて 1977年版」より引用しました。

・ユニトロン 114型 60 mm 屈折経緯台
 口径60 mm、焦点距離900 mm、付属アイピース:SYM 9 mm、K 18 mm、R 25 mm、ファインダー:4 x 19 mm、定価:45,000円
 入門用でしょうが、ファインダーは小さなものです。SYMという形式のアイピースは構成がよくわかりません。
・MODEL 114
 口径60 mm、焦点距離900 mm、付属アイピース:Or 9 mm、K 18 mm、K 25 mm、ファインダー:4 x 19、定価:48,000円
 アクロマート屈折経緯台で、前述の114型からアイピースが変わりました。

・MODEL 65M
 口径65 mm、焦点距離900 mm、付属アイピース:Or 9 mm、K 18 mm、K 25 mm、ファインダー:6 x 24、定価:128,000円
 アクロマート手動式赤道儀で、前述の128型と同じ架台ですが、65 mmという口径となりました。
・ユニトロン 128型 60 mm屈折赤道儀
 口径60 mm、焦点距離900 mm、付属アイピース:Or 6 mm、SYM 9 mm、K 18 mm、R 25 mm、ファインダー:6 x 24 mm、定価:80,000円
 昔からあるユニトロンの望遠鏡といえば、この型でしょう。小さいながらファインダー脚が2本あって、いかにも!とう感じを与えます。
・MODEL 129
 口径75 mm、焦点距離1,200 mm、付属アイピース:Or 6 mm、Or 9 mm、K 18 mm、K 25 mm、ファインダー:8 x 30、定価:89,000円
 131型の鏡筒を使った経緯台です。 

・MODEL 131
 口径75 mm、焦点距離1,200 mm、付属アイピース:Or 6 mm、Or 9 mm、K 18 mm、K 25 mm、ファインダー:8 x 30、定価:158,000円
 前述の131型と基本的には同じで、アイピースの組み合わせが変わりました。
・ユニトロン 131型 75 mm 屈折赤道儀
 口径75 mm、焦点距離1,200 mm、付属アイピース:Or 6 mm、SYM 9 mm、K 18 mm、R 25 mm、ファインダー:8 x 30 mm、定価:130,000円
 これも昔からある型のもので、手動式です。
・MODEL 134
 口径100 mm、焦点距離1,500 mm、付属アイピース:Or 6 mm、Or 9 mm、K 18 mm、K 25 mm、ファインダー:10 x 40、定価:180,000円
 前述の134型と同じで、アイピースの組み合わせが変わりました。

・MODEL 132EM
 口径100 mm、焦点距離1,500 mm、付属アイピース:Or 6 mm、Or 9 mm、K 18 mm、K 25 mm、K 40 mm、ファインダー:10 x 40、定価:455,000円
 前述の132型と基本的に同じですが、モータードライブ付きになりアイピースの組み合わせが変わりました。
・ユニトロン 134型 100 mm屈折経緯台
 口径100 mm、焦点距離1,500 mm、付属アイピース:Or 6 mm、SYM 9 mm、K 18 mm、R 25 mm、ファインダー:10 x 40 mm、定価:120,000円
 当時としては大口径だった10 cm屈折ですが、経緯台でお手軽に使おうという人には向いています。野尻抱影氏のロングトム望遠鏡のようにして、私も使ってみたかった。でも鏡筒が長すぎて使いづらい感じも受けます。
・MODEL 132ED EDアポクロマート
 口径100 mm、焦点距離1,000 mm、付属アイピース:Or 6 mm、Or 9 mm、Or 18 mm、Or 25 mm、ファインダー:10 x 40、定価:545,000円
 ユニトロンでは初めてのEDアポクロマートです。架台は旧来の10 cm用と同じです。硝材の組み合わせなどは不明です。
・ユニトロン 132型 100 mm屈折赤道儀
 口径100 mm、焦点距離1,500 mm、付属アイピース:Or 6 mm、SYM 9 mm、K 18 mm、R 25 mm、ファインダー:10 x 40 mm、定価:280,000円
 上記の鏡筒を赤道儀に載せたもの。時計はなくて手動式です。
・MODEL 136ED EDアポクロマート
 口径125 mm、焦点距離1,250 mm、付属アイピース:Or 6 mm、Or 9 mm、Or 18 mm、Or 25 mm、ファインダー:10 x 40、定価:835,000円
 口径が125 mmとなったEDアポです。架台は10 cm用と共通です。

・ユニトロン 132E型 100 mm屈折赤道儀
 口径100 mm、焦点距離1,500 mm、付属アイピース:Or 6 mm、SYM 9 mm、K 18 mm、R 25 mm、ファインダー:10 x 40 mm、ガイドスコープ:D 50 mm、f 700 mm、自動運転時計装置付き(シンクロナスモーターまたは重錘式運転時計)。定価400,000円。
 いよいよ重錘式の運転時計の登場です。精度は別にして、仕組みはたいへん面白いものです。でも自分でもは買いたいと思わないでしょう。

MODEL 136 FL フローライト・アポクロマート
 口径125 mm、焦点距離1,000 mm(アクロマートの1,000 mmと2,000 mmもあり)、付属アイピース:Or 6 mm、Or 9 mm、Or 25 mm、ファインダー:10 x 40 mm、定価:835,000円
 おそらく、ユニトロン最後の高級機種でしょう。フローライトの硝材はどこから入手したのでしょうか?高級機種ながら赤道儀はクラシックな10 cm用のままです。これでは高橋製作所のFC-125フローライト鏡筒+EM-200赤道儀の組み合わせ(定価:878,000)には勝てなかったでしょう。アイピースは時の流れのせいか、オルソスコーピックのみとなっています。MHやKはカタログにありません。

 惜しまれつつも廃業した日本精光のユニトロンブランドですが、ユニークな望遠鏡はきっとアマチュア天文家の記憶に残るだろうと思われます。