2000年6月に訪れた米国カリフォルニア州サンディエゴにある光学機器販売会社のDeutsche
Optikにて仕入れた文献の紹介です。
著者はHans Seeger(ハンス・ゼーガー)氏で、書名は「Militaerische Fernglaese
und Fernrohre in Heer, Luftwaffe und Maine(旧ドイツ陸軍、空軍、海軍の双眼鏡と望遠鏡)」です。レターサイズ、490ページほどの大冊です。自費出版で一般の書店経由では入手できないそうです(amazon.comでは検索できませんでした)。著者は医者で、双眼鏡集めの趣味が高じたようです。
![](deutsche/seeger1.jpg)
D.O.社にあるのは、著者のサイン入りのだけのようです。入手方法、価格などはD.O.社のウェブサイトをご覧ください。
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本書の目次は以下の通りで、数人の著者による共著となっています。
1.Fruehe Teleskope und Galilei-Fernglaeser
(初期の望遠鏡とガリレオ式双眼鏡)
古い単眼式望遠鏡とガリレオ式の双眼鏡の記載です。Hughes & Son, LTD.,
Londonの2.5 x 50、視野10°というのが興味深いですね。
2.Prismenfeldstecher (ohne Marine)
(プリズム双眼鏡、海軍を除く)
1910年代からのプリズム双眼鏡の紹介ですが。ドイツだけではなく、イギリス、フランス、米国、イタリア、ポーランド、ソ連、日本、のものも紹介しています(1980年代までの製品も含まれています)。ここはかなりページが割かれており読むだけでもたいへんですが、ドイツの輸出用モデルが興味深いですね。砲隊鏡もかなりのページがあります。
3.The Large Aperture German and Japanese Binoculars of WWII. A Comparative
Study of Construction and Performance (Kevin K. Kuhne, USA)
(第二次大戦におけるドイツ、日本の大口径双眼鏡、構造と性能の比較的研究)
![](deutsche/seeger2.jpg)
この章は英語なので、読みやすいのがありがたいですね! 日本の軍用大型双眼望遠鏡には圧倒されます(中でも日本光学の50
+ 83 x 250が圧巻!)。 |
4.Marine-Fernglaeser (Marine-Prismenfernglaeser)
(海軍の双眼鏡、(海軍のプリズム双眼鏡))
![](deutsche/seeger3.jpg)
航海用の双眼鏡は別立てになっています。ドイツ、イギリス、アメリカの小型−据え付け型双眼鏡のオンパレードです。章の扉はあのカール・ツァイスの5
+ 10 x 24で、角型双眼鏡と呼ばれていたものだと思います(日本海海戦における東郷司令長官ご愛用)。カール・ツァイスの8
x 60は揺れる船上での使用を考慮したものでしょうが、過剰な瞳径です。ひょっとして星見にも適するでしょうか?
5.Binokulare Ziel- und Richtfernrohre von Seestreiktkraeften des 2. Weltkrieges
(Heinz Radimersky, Bad Pyrmont)
(第二次大戦における水上部隊の双眼照準望遠鏡と照尺)
これは大砲や魚雷用の照準望遠鏡についてですが、省略。
6.Vom Nachtglas zum Waermebildgeraet
(Roland Leinhos, Bonn, Boerriesv. Breitenbuch, Muenchen)
(夜間望遠鏡から温度画像受信装置へ)
これは赤外線暗視望遠鏡から現代の温度画像装置(正式には何というのでしょうか?)までが記されています。
7.The WWII "Tabby" Infra-red Viewer (Allan Mills, GB)
(第二次大戦の赤外線暗視装置"Tabby")
これは頭からかける赤外線暗視装置で、現代のものよりははるかに大型ですが、すでにこの技術があったことに驚きます。
8.Literaturverzeichnis
(参考文献一覧)
カール・ツァイス関連の文献が多いようです。
9.Ergaenzende und weiterfuehrende Literatur
(補足および主要文献)
関連図書でこちらの方が面白そうです。
10.Danksangung
(謝辞)
略
11.Glossary and translation of frequently occuring German terms
(用語集とよく出るドイツ語単語の意味)
4ページ足らずの対訳用語集です。
12.Stichwortveizeichnis und Index
(索引)
ドイツ人らしいというのでしょうか、緻密な索引です。
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じっくりと読み出すと何週間もかかりそうなほど中身が詰まっています。いかにもドイツ、イギリス、アメリカの趣味人が腰を入れて書いただけのことはあります。特にあまり取り上げられていなかった、メーカーの双眼鏡は初めて見るものばかりです。
ドイツ語が苦手な方でも、とりあえずは写真を見ているだけでも楽しくなるでしょう。エンスーの方(だけ?)はご一読ください。
*ドイツ語の表記をウムラウトの代わりにeを付けました。以下、参照してください。 ae
= a", ue = u", oe = o"
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