サンディエゴにて(2)  (3)

At Deutsche Optik, San Diego, CA, USA


写真-12 Deutsche Optikショールームにて

Show room

●Deutsche Optik

 次に行ったのが、ドイツ製の双眼鏡を扱っているので一部でおなじみの店でした。

写真-9 同社の最新版カタログ

(表紙は旧ツァイス・イエナ製7x40)

Latest catalog, Zeiss Jena 7x50

【場所】

 ショップの住所は、カリフォルニア州サンディエゴの北東部に位置しています。車で行くならば、I-8を東へ行き、I-15との交差を過ぎたあたりに"Mission Gorge Rd"の標識があります。ここでフリーウエイを降りて道なりに行くと、Mission Gorge Placeと交差します。ここで右折してちょっと入ったところの左手にあります。看板が小さいので見逃さないように(番地を見ていけば確実にたどり着けるのが米国の便利なところかも・・・)。

写真-10 駐車場(左が私のレンタカー)

Parking Lot of D.O.

写真-11 入り口(ドアの下方に小さな看板)

the Entrance with small billboard

 ドアを開けて入ると受付になっています。ウエッブサイトで広告を見たので商品を見せてほしいというと、中に入れてくれました。ショールームは10畳ほどの部屋で、会議用テーブルのまわりに航海用のコンパスがずらりと並んでいます。双眼鏡は本棚の一角にあまり目立たぬように並べられていました。

【商品】

 受付の方に見せてもらった双眼鏡の印象です。中古品は同社で光軸調整、補修済みとのことでした。ちなみに同社は双眼鏡の修理も業務として受け付けています。

・Royal Air Force (RAF) Spotter's Binocular
 第二次大戦中に使用された5x40ポロ型で、大きなアイカップがついています。仕上げはまあ普通といったところでしょうか。対物の一面だけにコーティングが施されています。窓越しに景色を見ると、標準的な45-50度の見かけ視界で、クリアーに見えました。これが最後の一台とのことでした。

・British Army 7x50 No.5 Military Binocular
 戦後NATO用に開発されたもののようです。グリーンに塗装されていますが、いかにも後から塗りましたようにぼってりとしてるのが玉に瑕でしょうか。コーティングは対物、接眼ともされています。見え具合は可もなし不可もなしといったところです。ちょっと大柄な感じを受けました。*後述の参考書によるとRoss製のようです。

写真-13 英国製7x50双眼鏡(カタログから)

British 7x50 Military model (from the catalog)

・Deutsche Optik 15x60 BGA Long-Range Observation Binocular

 おそらく旧JenaのNobilem 15x60にラバー被覆を施したDocter製品ですが、Deutsche Optikの名称も入っていました。大柄ながら、持ちにくいというほどでもありません。カタログではハイアイになっていますが、見た感じは短めでした。見かけ視界60-65度の広角アイピースを使っています。視野は着色もなくクリアーでしたが、星で試してみたいところです。

写真-14 自社ブランドの15x60双眼鏡

(カタログより)

Deutsche Optik 15x60 (same as Docter 15x60)

Optlyth Royal 8x45 BGA

 外観はツァイス(ヘンゾルト)のDialytに近いのですが、手に持った感じではそれにはおよびません。ハイアイで、見かけ視界は50-60度のアイピースを使用しています。風景ではクリアーな像を見せてくれます。これも星を見てみたいところです。

・WWII US Navy Issue 7x50

 第二次大戦中の米海軍の双眼鏡で、6x30、8x30、7x50がありました。6x30は私も持っている、Universal Cameraのものでした。8x30はちらと見ただけで、メーカーなどは良くわかりませんでした。

写真-15 米海軍の7x50と6x30双眼鏡

(カタログから)

US Navy 7x50 and 6x30 (from the catalog)


 「カタログにあった7x50は?」と尋ねると、奥の倉庫から持ってきてくれました。本体には型式しか刻印されていないので、メーカーがわかりません。Bausch & Lombが見たいというと、受付の女性の手に余るようで、マネージャー氏を連れてきました(短パン姿でしたが)。
 彼は倉庫へ戻り別のものを持ってきてくれましたが、これも型式しか刻印されていません。参考書(別報予定)を持ち出してきて説明してくれました。海軍と陸軍では同じものでも型式が違うのだそうで、陸軍のM16はB & Lであることがわかりました。
 M16は光軸調整がなされ、仕上げ塗装もあらたに施されており、新品に近い印象を受けました。もっともわずかな塗装の剥がれはご愛敬といったところかもしれません。外観はニコンのトロピカルと同じで、もっとも戦後ニコンが真似たのでしたが・・・。コーティングは全面に施されています。B & Lのマークはありませんでしたが、これを買うことにしました。
 帰国後、アークトゥルスを視野に入れて見てみると、視野の2/3は点状となり、3/4以上では翼を広げます。現代のケルナー型のものと大差ありません。

写真-16 Bausch & Lomb製7x50双眼鏡

US Army M16 7x50 (made by B & L)

写真-17 M16とある刻印(米陸軍)

【その他】

 Deutche Optikはドイツ系なのかと聞いてみると、ドイツ製の光学製品の取り扱いが多いので、そういう社名としているとのことでした。マネージャー氏(名前失念)はドイツ語はわからないと言っておりました。

【ボシュロムとニコン】

 戦前の日本光学の軍用双眼鏡はカールツァイスの流れを受けていわゆるツァイス型をしていました。戦後、米への輸出を想定してか、ボシュロム型も生産されるようになりました。その元祖がトロピカルといえましょう。おそらくM16あたりを真似たものではないのでしょうか(光学設計は違うかもしれません)。

 下の写真はボシュロムのM16とニコンのトロピカルを並べた所です。よく似ているのがわかります。

写真-18 B & L(左)とニコン7x50トロピカル(右)

Left: B & L 7x50, Right: Nikon 7x50 Tropical


 サンディエゴは米海軍の軍港であり、周囲にも空軍や海兵隊の基地がいくつもあります。このため軍が放出したと思われる物資を扱う店がいくつかありました。じっくりと探せば、双眼鏡などの光学品もかなり見つかるのではと思います。もっとも、光軸などが狂っている可能性があるので、調整が必要になるでしょう。このDeutsche Optikはそういった修理・調整も引き受けています。中古の双眼鏡を買う場合には、この点がもっとも注意すべき点でしょう。

*双眼鏡ファンには、ドイツ在住のSeeger氏の大著は必読でしょう。

おわりに

 この報告には触れませんでしたが、サンディエゴは観光を目的に来ても面白い街だと思います。次回は市内観光を中心に再度訪れてみたいところです。昨年のアリゾナ旅行でも思いましたが、アメリカではレンタカーがあるととても便利です。ダウンタウンの中心部以外でしたら、無料の駐車場がありますので不自由はしないでしょう。
 来年も行きたいものです・・・。