CANP 2000参加記 (3)

CANP (CCD Astronomer's Network Party) 2000 (3) (4)

懇親会後の座談会の様子(全景)

 8)座談会

 懇親会がひとおり終わると、椅子を中央に集めて座談会が始まりました。上の写真参考。

「21世紀におけるCCDと銀塩」 山田啓作

 ペンタックスの12.5 cm、15 cmアポ望遠鏡を使ってこだわりの銀塩写真を撮っておられる山田さんが会場に来られ、CCDではなく銀塩写真にこだわる理由を述べておられました。お話の中で、しし座にあるM 65, 66, NGC の銀塩写真に岡野氏のCCD画像を貼り付けたものを回覧され、広写野ながら鮮明なM 65の画像に見入っていました。ルーペで見なければわからないほどです。

写真-10 左から清田、山田、笠原、岡野、一人おいて、近藤(敬称略)

 富士フィルムの塩田和生さんからも写真フィルムについてのコメントと、富士フィルムの一眼レフデジカメによる画像の紹介がありました。わずか30秒露光ながら、数分ガイドしたような写りでした。

写真-11 富士のデジカメを手にコメントする塩田さん(後方右手に冨田弘一郎先生)

「スターシャープは反則か?」 岡野邦彦

 スターシャープフィルターを使うと、光学系に頼ることなくソフトウエア上でシャープな画像が作れてしまうがどんなものかというお話。すみませんが、あまり覚えていません。

 それやこれやで22時には解散となりました。鈴木雅之さんと新宿まで同行し、私は宿のある新大久保駅へと向かいました。

写真-12 実行委員長の岡野さんから

記念品を授与されるバーバーさん

5.21日のプログラムから

 二日の目の朝は、乗り換えの成城駅で中西昭雄さんとお会いしたので、互いに名刺を交換しました。中西さんはムトウでCCDプロジェクトに携わっておられましたが、今は独立して冷却CCDの企画・開発、受注生産などをされているとのことでした。

 1)講演「インクジェットプリンタの現状」 中西昭雄(ナカニシイメージラボ)、蒔田 剛(キャノン)

 中西さんはCCDカメラの専門家で、蒔田さんはインクジェットプリンタの開発者です。両氏から、ソフトおよびハードの面から詳しい説明がありました。少し紹介すると、

 <蒔田氏>
 ・銀塩写真は好ましい色に色づけされているが、CCDはニュートラルである。
 ・デジタル写真はトーンカーブをいじると見慣れた銀塩写真と同じようになる。
 ・写真画質とは、階調性(トーンのS字カーブ)、グレーバランス、ハイライトの柔らかさ、鏡面の表現に現れている。
 ・各メーカーでは、ハイライトの表現のためにインクのドロップ(吐出)量を少なくしている。たとえば、エプソンのPM-700C(初代写真画質プリンター)では18ピコリットルだったのが、キャノンのBJF-850では4ピコリットルにした(エプソンのPM-800Cも同じ)。*ピコリットルは10のマイナス6乗リットル
 ・エプソンはノズルの大きさを変えてなめらか階調表現をしている。キャノンではノズルの大きさのばらつきをカバーするために重ねて印刷している。
 ・今後の展望
 シャドー部の再現をよくしていきたい(現在のところ難しい)

写真-13 講演される蒔田さん

 <中西氏>
 ・インクジェットプリンターの進歩はめざましいが、天体写真の視点からはまだ不満がある。キャノンではトーンジャンプが見られ、エプソンではある階調の時に画像の荒れが見られる。
 ・プリンタードライバーの設定がよりよい出力が得られる。BJF-850では、印字モードを高品位に、ガンマを1.8に、色補正をオフにする。PM-800Cでは、双方向印刷をオフに、マイクロウイーブをスーパー(キャノンの高品位と同様)にする。
 ・プリント画質の正しい評価方法は、次の点に注意する。
  出力条件は同じにする、最低24時間おいてから評価する、光源・明るさ・体調を同じ状態にする。

 <質問、コメントから>
 ・インクジェットとレーザープリンターでは、基本的に同じような設定でよいが、インクジェットの方が再現できる階調が広い(蒔田)
 ・画像のベースを50くらいに持ち上げて、銀塩写真に近づける(岡野)
 ・トーンカーブの読み込みを行う(岡野さんから提供していただける予定)

写真-14 会場に貼られた大量のプリント見本

続く